中小企業のDX推進は、低コストで実現できる!?

こんにちは。フォーティディーの林です。お仕事でもSNSを利用されている方は、「DX(デジタルトランスフォーメーション)推進」という言葉を良く見かけると思います。

大企業を中心に多くの企業がDXに取り組んでいる。一方、中小企業では取り組んだ方が良いアクションとして認知はしているものの、大半の企業が未だデジタル化の途上にあるようです。理由はシンプルで、そもそも「業務のDX化」により得られる効果がいまいちピンとこないからだと思います。

「業務のDX化」により得られる効果とは?

一般的には「業務効率の向上」⇒「従業員の負担軽減」⇒「離職率の低減」といった感じで、中小企業の弱点である「人手不足」に効果があると言われています。しかしこの効果だと「マイナスをゼロに戻す」感覚なのでコストをかけてまで取り組めないのではないでしょうか?

私はどちらかというと「機会損失の低減」⇒「新規獲得率の向上」に注目してDX化に取り組んだ方が、中小企業にとっては自然な流れかと感じています。なぜなら経営者は「いくら使ったら、いくら儲かるのか?」というシンプルな問いに答えがあるアクションには、すんなりと稟議を通すからです。当たり前のことですが、実は社内の各部署から上がってくる稟議書に、この答えが書かれていないことが多々あります。

新しく覚えることへの強い抵抗感

「これさえ導入すれば中小企業のDX推進がワンストップで実現されます!」と謳ったサブスクツールは沢山あります。その中から自社の業務実態に合わせて、本当に必要な機能を精査して、最も安い運用コストのツールを選ぶのは至難の業です。

挙句、折角導入した「DX化ツール」を社内で活用するために、データをインポートしたり、マニュアルを作成して社内説明会を開いたり、といった感じで「逆に仕事増えてるじゃん!」という声が社内から上がってくるケースを沢山見て来ました。

特に古参のスタッフや管理職の方々が「俺は大丈夫、今までのやり方でやるから。君たちは〇〇システムをちゃんと使ってね!」と一元化への道を阻んできます。システムなんて全社的にノックアウトしなければ効果が半減(もしくは無駄な仕事を増やす)するので正に本末転倒。

ではどうしたら良いのでしょうか?

極力シンプルで低コストなところから始める

私がおすすめするのは、いつも使っているツールの延長線上にあるMicrosoft OfficeやGoogleプラットフォームだけで、必要なことだけ「DX化」していく手法です。

メールやチャット、管理表や議事録など、今あるツールやデータに少し手を加えることで、二度手間や同じ質問の繰り返しを防ぐことができます。必要な情報が、最新の状態で、必要な人の手元にあることが、DXの最初の一歩なので。

特におすすめなのは「Google Workspace(グーグル・ワークスペース)」を活用した、社内情報の集約と整理です。もちろんコストは発生しますが、基本業務に便利なツールがまとめて利用できるので、専用ツールを導入して失敗するよりも圧倒的にお得感があります。

グーグル・ワークスペースの料金プランはこんな感じです

2025年3月時点での料金プランはこんな感じになっています。

  • Business Starter(ビジネススターター)¥800
  • Business Standard(ビジネススターター)¥1,600

※いずれもユーザー 1 人あたりの月額(1 年契約の場合)

まずはビジネススターターで無料トライアルから始めて良いと思います。
「できること」は沢山ありますが、「やるべきこと」はそれほど多くないので。

DX推進で重要なのは「課題の可視化」

中小企業がDX化を低コストで推進していくために、最も重要なことは「課題の可視化」です。
あらゆる部署の、全ての業務で「何をしたら(もしくはしなかったら)、どの結果に影響(プラスもマイナスも)がでるのか?」を、出来るだけ正確に理解していなければ、アクションの優先順位が決まらないので「DX化」という言葉に振り回されて、逆に業務量が増えることになります。

例えば、みなさんがほぼ毎日触れているパソコンのキーボード。一番上に「F1」~「F12」のキーが並んでいますよね。これはファンクションキーといって、それぞれに便利な機能が割り当てられています。しかし私はこれをしっかりと使いこなしている人をほとんど見たことがありません。すぐ手元にあるにも関わらず、それを押した結果として何が起きるのか知らなければ、役に立たないのです。ちなみに私は〔Fn+F2〕と〔Fn+F3〕は良く使います。

脱線ですが、参考までに【WindowsPCのファンクションキー一覧】を載せておきます。

キー機能使用アプリ・場面
F1ヘルプを表示使用アプリやWebブラウザ
F2ファイルやフォルダの名前変更ファイル・フォルダ
F3検索Webブラウザ
F4アドレスバーを表示/直前の操作の繰り返しMicrosoft edge /Office系ソフト
F5ブラウザの更新Webブラウザ
F6ひらがなに変換文字入力時
F7カタカナに変換文字入力時
F8半角カタカナに変換文字入力時
F9全角アルファベットに変換文字入力時
F10半角アルファベットに変換文字入力時
F11ウィンドウの全画面表示Webブラウザ
F12名前を付けて保存Office系ソフト

上記のように一覧表が手元にあれば、必要な機能を必要な時に使えば良いだけなのですが、企業活動は複雑なのでこんなシンプルなリストにするのは難しいです。社内のアチコチで発生している「これはもっと増やしたい」、「これはもっと減らしたい」という課題の原因について、担当者への丁寧なヒアリングにより可視化(できれば数値化)することで、効果がある順に、適正なコストでDX化を進めることができます。いきなり始めずに、とにかく社内各所から話を聞きましょう。

集めて、揃えて、並べる

DX化=システム導入、ではありません。またどんなシステムも「RAWデータ(ローデータ)」が無ければ何も表示しないからです。在庫ビジネスで言えば「どの品番が、いつ、何個、誰に、売れたか」といったデータです。

ほとんどの中小企業で「売上高」に最も影響のある数字(KGI)は、正しく管理されていますが、実はその数字を生み出すために必要な数字(KPI)が管理されていないことが多いです。またKPIの計測&レポートは行っていたとしても、担当者や担当部署によって独自の表形式で個別管理されている事例も多くみてきました。

これはとても良くない状況でして「KGIとKPIの因果関係が分からない」ため、アクションが迷走して成果が出ません。

そのため、まずは関係する(であろう)、あらゆるデータを集めて、週次または月次で揃えて、上から下にキレイに並べることをおすすめします。それなりに手間がかかる作業ですが、Excel(エクセル)や、Googleスプレッドシートだけでまとめることができますし、作業を進める中で新たな課題を発見するなど副次的効果も期待できます。

低コストなミニマムDXをおすすめする理由

いわゆるパッケージ化されたDXツールは沢山ありますが、前述の通り「自社に最も適したツール」を見定めることがとても難しいです。ランニングコストを優先すると、後から「これもできない、あれは追加費用、、、」という話も良く聞きます。

理由はシンプルで、パッケージ化されたツールは、導入する企業規模や業務内容について「ある程度の幅」を持たせて設計されているからです。この幅により不要なデータ入力(プロパティ)をしなければ先に進めなかったり、重要な指標が一目で分からない、といった不都合が生じてしまいます。

また、そんな不都合を解消するために月額(年額)費用には「サポート費用」が含まれていますが、自社にマッチした型を構築してしまえば、本来はずっと払い続ける必要がない費用です。(ツールを提供する側としては、ここが稼ぎどころなのですが。)

こうした理由で、私はDX化に関するご相談をいただいた際に、以下のステップを踏むようにしています。

  • まずは経営陣+各部のリーダーから、徹底した現状のヒアリングを行う
  • 同時に数値化された目標設定の有無を確認
  • 各部署から必要なデータ化を「集めて、揃えて、並べる」作業(データ化されていなければ入力作業も)
  • 経営陣+各部のリーダーと整理したデータを見ながら、課題を抽出し共有
  • 効果が見込めると予想される領域から、順番に着手する
  • 効果検証を行って次に進む

このステップにより最小限の投資で、上手く行けば3ヶ月、長くても6ヵ月で「自分たちで管理運用できるDX化」の型が見えてきます。無駄な報告書も減って、何となく週次会議も不要になり、成果を上げるためのアクションにエネルギーを集約できるのです。

そもそもDXツール選定に迷っている、もしくは導入したけど使いこなせていない、といった方はぜひ一度ご相談ください。どの選択が最も貴社に適しているのか?そこから一緒に考えましょう。

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